第12章 アウトサイダー
「あ!トラ男〜〜〜〜〜〜!!!」
何やら威勢のいい声が聞こえた、と思った瞬間、あたしの目の前に、今1番にっくき男の顔が飛び出してきた。
「あれ、ゆきんこなんでこんなとこで寝てんだ?」
きょとんとした顔で心底不思議そうにしてるのが、さらにあたしの神経を逆撫でる。
「あんたが!あんたがあんな斜面にあたしを置くから、転がり落ちたんじゃないの!!」
死ぬかと思ったんだから!
本当に、もうおしまいかと思ったんだから!!
ローに怒られたのも全部あんたのせいだ、ルフィ!
関係ないことも押しつけてキッと睨みつけてやる。
なのに、当の本人は、
「そうか!わりィわりィ」
なんて言って一切悪びれる様子もなく、にこにこ笑ってるんだから余計腹立たしい。歯を見せるなバカ。
「でもさっきより寒くなさそうだし良かったじゃねェか」
しかも無責任にもそんなことを言う。
「いいわけあるか!」
ぺちぺちあたしの頬を叩く手に噛みついてやろうかと思った。
そりゃあれだけ転がり落ちたらいい運動になったよ。
こんな思いするなら絶対したくない運動だったけどね!
そう嫌味ったらしく言ってやろうかとも思ったけど、どうせ、あたしがどれだけ文句言っても、ワハハと笑ってるルフィには全然響かないんだろう。
言うだけ無駄だと思って、あたしは一つため息をつく。
「…もういい。みんなのところ戻ろう。手、貸してよ」
「ん?なんでお前起きれねェんだ?」
だっから!
あんたがぐるぐる巻にしたからでしょうが!!