第12章 アウトサイダー
──ああ神様。
あたし、そんなに悪い子でしたか。
こんな、ミノムシみたいに転がって、でっかい足に踏んづけられて死ぬなんて。そんなの、酷すぎる!!
どんだけ悪行を重ねたら、こんな死に方しないといけなくなるのよ。
聖女のように白い花に囲まれて指を組んで、とまでは言わないけど、せめてもう少しマシな死に方がよかった…!
例えば、見晴らしのいい丘の上とかで、あ、海が見えるところがいいかも。まあとにかく、そういうところで、我が人生に一切の悔いなし!と言えるくらいの死に様がよかったぁ。
なんて、現実逃避に浸っていると、まるであたしの妄想を叩き潰すように、ドスっと真横に何かがぶっ刺された気配がした。
続いて、心底忌々しげな舌打ちが聞こえてくる。
この人はさっきから何をそんなに怒ってるんだろう…。
ぼんやりそんなことを思って、やっぱり誰か見てみたくなって、何とか身を起こせないものかともがいていると。
「"カウンターショック"」
突然、バチバチィッと金色の電撃が走った。それはもう稲妻が落ちたのかと思うくらいの、凄まじい光で。
視界がチカチカと弾けて、頭の中にも電流が流れたように一瞬真っ白になる。
それから急に、思考が正常に動き始めたのが分かった。
今までぼやけていた世界に色がついて、ハッキリとした輪郭があたしの目に映る。地面の揺れもマシになった。
そしてそれと同時に。
あたしはとてつもなく怒っている、その黒い靴の人の存在も思い出したのだった。
「──動くな、と。何度言えば分かるんだ。お前は、おれの言う事が理解できねェのか?」
…まさに、ショック療法、ね。