第12章 アウトサイダー
ロビンのおかげで、幸いにも、落ちてきたのは軽い雪の塊だけだった。
あの大きな岩が丸ごと降ってきたらと思うと流石に心臓が冷える。
あたしたちはまだ動けるけど(あ、あたしは動けないけどルフィが抱えてるから)、ここには眠り込んだ子供たちもいるんだから。
何者かわからないけど、明らかに悪意を持った者の容赦ない攻撃に、あたしもルフィが見ていた方向へ目を凝らす。
子供たちが動けないのを分かっていてやったんなら、とんでもないことだ。
ルフィも同じく、突然の攻撃にムッとしたらしく、
「こんにゃろう!!どっからだ!?」
さっき見ていた方向を険しい顔で睨んでいる。そして、
「ゆきんこ、ちょっとここにいろ」
あたしをその場におろして、弾丸のように走り出したのだ。
…そう、その場に、あたしをおろして。
待ってろって言うけどあんた…。
あたしは冷やりと背中に汗が伝うのを感じた。
あたしがぐるぐる巻にされていなければ。
さもなくば、下ろした場所が雪の、下り坂じゃなければ。
そうだったら、あたしも分かった!って元気よく返事することができたのに。
了解!よく分かんないけどアイツらぶっ倒してきて!って。
だけど、この状況で待ってろって。
「それは、無理があるってもんでしょう!!!」
…そう。残念ながら、今ルフィが立っていたところは雪で覆われた緩やかな下り坂になっていて。
身動きが取れないあたしは自分で立ち上がることはおろか、その場に留まることすらできなくて。
「うわわわわわわわわわわ!!!」
無様に雪の斜面を転がり落ちていったのだった。