第12章 アウトサイダー
「よし、これで完璧だな!!」
「ぜんっぜん完璧じゃない!!おろせバカ!!」
ここにいる麦わらの一味はさらに二手に分かれることにしたらしい。"マスター"とやらを探しに先に研究所へ向かうチームと、子供たちが起きるのを待ってから向かうチーム。
そして、あたしはと言うと。
かっぱらった茶ひげのマント(というより破ったから大きめの布切れ)でぐるぐるに巻かれ、ルフィに小脇に抱えられていた。
ローの俵担ぎよりひどい。
これじゃ本当に荷物だ。
人権なんてあったもんじゃない。
「あたしもみんなと残りたい!下ろしてよ!!」
身動きが全く取れなくて、暴れることもできず情けない声を出すあたしに、ルフィは顔をしかめる。
「お前、そんな格好で残ってたら凍死するぞ!」
あんたさっきあたしが寒いって言ったら、たまげてたじゃないの!どの口が言ってるんだか。
それに。
「あんたが抱えてたらあたし動いてないのと一緒でしょう!」
「うるせェなァ。お前がついて行きたいって言ったじゃねェか」
「ちがう!!!あたしが言ったのは、"麦わらの一味"について行きたいって意味で、あんたについて行きたいとは一言も言ってない!!」
こんな抱え方されるくらいなら、寒くても子供たちが起きるのを待ってから研究所に行きたいのに!
だけどもう、ルフィはあたしの言うことなんて聞く気は無いようだった。
「よし!しゅっぱーつ!!」
「「いってらっしゃ〜い」」
高らかに声を上げて、先に研究所の方へ向かう。
居残り組が気の毒そうにあたしを見てたけど、誰も助ける気はないみたい。長年の付き合いで、例え口を出してもルフィが言うこと聞かないのは分かってるのかもしれない。
あたしは一つため息をついた。
寒いのを気遣ってくれる気になったのはありがたいことだけど、どうにも方向性がズレてる気がしてならない。
ローにしてもルフィにしても、海賊のキャプテンってやつはどうしてこうなんだろう。
傍若無人というか、自由奔放というか。
麦わらの一味に出会えたら、真っ先にビビのことを伝えて、思い出話に花を咲かせようと思ってたのに、どうやらそんなことを言っている状況ではなさそうだった。