第11章 疑惑の研究所
あたしは沸々と腹の底から燃えてくる怒りに、ギュッと拳を握りしめた。
「そんなの…そんなの、絶対許せない…!!その"マスター"ってやつ、捕まえてぶん殴ってやる」
子供たちから自由を奪って、実験道具にしたことを、命を弄ぶような真似をしたことを、後悔させてやる。
泣き叫んでも許してやらないんだから。
メラメラと闘志を燃やすあたしを見て、ナミが肩をすくめた。
「トラファルガー・ローとの繋がりは不明だけど、少なくとも、あなたが悪い奴じゃないってことは分かったわ」
「な!ゆきんこ悪い奴じゃねェだろ!トラ男もいい奴だって!」
しししと笑うルフィ。
あたしはそれを聞いて怒りを収めてちょっと考える。
…そうなのよね。
問題は彼がここにいたってことよね。
ローが何でこんなところにいたのか、それがまだ分かってない。
もし、ローが悪事に加担してたら。
そうだったらどうしよう。
あの頃の、不器用で無愛想で、だけど本当は誰よりも優しいあの人は、もうどこにもいないのかも知れない…。
いつか思ったことが、また頭の中でぐるぐる巡る。