第11章 疑惑の研究所
「そう、ここまでなら、ね。だけど…。私たちもついさっき知ったんだけど、どうやら子供達にとんでもないものを与えてるみたいなのよね。その"マスター"とやらは」
「…?とんでもないものって?」
「…覚醒剤、よ」
「か、覚醒剤…!?」
あたしはぎょっとして眠り込んでいる子供たちを見た。
今まで泣ける展開だっただけに、急に突飛なワードが出てきて脳の処理が追いつかない。
こんな小さな子供たちに…!?
そんな馬鹿な。
チョッパーが深刻そうな顔で後をつなぐ。
「クスリの効果が切れると暴れてしまうんだ。だからこうやって眠らせるしかなかったんだ」
「そんな…」
こんなよく分からないところに連れてきて、薬漬けにして。
逃げ出さないように。
檻の中に閉じ込めるように。
自由を奪って、従順な実験道具として育てる。
そんなひどい話があってたまるか。
「まさか、この子達がこんなにビッグサイズなのもその実験のせいなの?」
「…そうみたいだ」
子供たちがすやすやと眠る姿を見ていると、だんだんとその"マスター"とやらに対して言いようのない怒りが湧いてくる。
…なんて奴なの、"マスター"。
さっきまでのあたしの感動を返せ。
子供にそんな仕打ちをする奴は、いくら他の人の命を救っていようと関係ない。クズ中のクズよ。
──今も昔も、許されるべきことじゃないんだから。絶対に。