第11章 疑惑の研究所
「それで、あなたはあの男の仲間なの?今アイツがどこにいるか分かる?」
一刻も早く元の体に戻りたいと願うナミは切実な様子だった。
そりゃそうよね。
年頃の女の子がそんなサイボーグ人間にされて喜ぶわけがない。
ルフィもウソップも何故か羨ましがってたけど、あたしは絶対にごめんだわ。ナミの気持ちはよく分かる。
だから、あたしも元の体に戻れるように協力したいのは山々なんだけど、残念ながら、あたしはその気持ちに応えてあげられそうになかった。
だってあたし、ローがどこにいるのか全く知らないんだもん。
それにそれに。
さっき言ってたじゃない、あの人。
「あたし、ローの仲間じゃないの。ちっとも。全然」
当の本人に言われたことがまた蘇ってきて、あたしは拳を握りしめてブンブンと首を振る。
さっきローの代わりに謝ってたくせに、一体どういうつもりだと思ったかも知れないけど、こっちにはこっちの事情があるんだからしょうがない。
とにかく、自分からあの人の仲間だと言うのはあたしのプライドが許さなかった。
「でもあなたさっき…」
「ううん!昔ちょーっと会ったことがあるってだけで、あんな奴、全然知らないんだから!もちろん今どこに居るのかもね!!」
さっき言われた言葉の数々や、結局何も説明せずに放って行かれたことを思い出して、なんだか腹が立ってきたあたしは、思いの外、力を入れてナミに訴えてしまった。
要は、あなたたちをそんな目に合わせたことに、あたしは全然関係ないんだよって。そう伝えたかったんだけど。
「そ、そう…。なら仕方ないわね」
あたしの勢いに、ナミは面食らったようだった。
おっと。
熱が入りすぎちゃった。
あたしはちょっと気まずくなって、ごまかすように咳払いをする。
「あの、あたしからも一個聞いてもいい?」
気を取り直してぐるりと一味全員を見回す。
ずっと気になってたんだけど、聞くタイミングを逃していたんだよね。