第11章 疑惑の研究所
怒りの炎をたぎらせてキッと睨みつけるあたしに、ルフィは一瞬怖い顔をする。だけど、何を思ったのかすぐに目をぱちくりさせた。
「あ!お前!トラ男と一緒にいたゆきんこじゃねェか!!」
…は?
「トラ男と一緒じゃなかったのか!?」
…トラ男ってのはローのことよね…?
それで、そのあとなんて?
ゆ、ゆきんこ??
…それって、あたしのこと??
「…え?」
ルフィはびっくりしてるけど、あたしも負けず劣らずの驚き具合で、思わず目を瞬く。
「なんだルフィ、知り合いか?」
小さなトナカイくん──チョッパーが怪訝そうな顔をした。可愛いシルエットに似合わず、意外と物騒な面構えをしている。
「おう、さっき見た」
「それは知り合いとは言えねェだろ!」
「だけどトラ男の仲間なら悪い奴じゃねェだろ」
「何で分かるんだよ」
「…え、お前悪い奴なのか?」
目の前でぽんぽん飛び交うルフィとチョッパーの会話をあっけに取られて聞いていたあたしは、突然話題を振られて驚く。
「いや、違うけど…」
「ほらな!」
ニカっと笑ってあたしを指さすルフィ。
いや、いやいや。
あたしさっきそっちの長鼻くん…ウソップと言ったっけ、を張っ倒しちゃったんだけど!
そんなあっさり"いい奴だ"なんて言って、い、いいの!?