第11章 疑惑の研究所
「あ、ごめんなさい!」
伸びてしまったその人を見て思わず謝ってしまう。青くなって近寄ろうとして、あたしはぴたりと動きを止めた。
…よくよく考えると謝る筋合いは無いよね?
だってこの人、モチャに向かって危ないもの向けてたんだもん。
「おい、ウソップ!!大丈夫か!?」
「ウソップ〜〜!!」
「あらあら…」
「てめェ何者だ!?」
あたしは雪を払って立ち上がってから、声を上げる麦わらの一味と向かい合った。
その場にいたのは一味全員じゃなかったみたいだけど、圧巻の顔ぶれだった。
サンジ、そげキング…もといウソップ、ニコ・ロビン、フランキー、トニートニー・チョッパー、そしてモンキー・D・ルフィ…。(あとなぜか、さっきのケンタウロスが鎖で縛られてたけど。)
あたしはごくりと唾を飲み込む。
さすがに冷や汗が背中を伝う。
よくよく考えたらとんでもないことをしてると思った。
億越えのルーキーに楯突こうだなんて正気の沙汰とは思えない。どう考えても血迷ってる。
だけど。
だけど、子供たちが目の前で痛めつけられてるのに黙って見てるなんて、そんなの絶対にごめんだ。
億越えがなんだ。
最悪の世代がなんだ。
泣いてる子供達を痛めつけて喜ぶ奴がいるなら、それはどれだけ富や名声があっても等しく外道だ。
そんなの、あたしが絶対許さないんだから。