第11章 疑惑の研究所
ビビの友達だからって、無条件に味方だと思い込んでいた自分に呆れる。
彼らもまた、"海賊"なんだ。
子供たちにでさえ平気で手をあげる。
そういう人種だ。
走りながら突き抜けるようにそう思った。
失望より怒りが勝った。
あたしは渾身の思いで地面を蹴る。
そして、長鼻の彼の前に立ちはだかる。
…つもりだったんだけど。
あたし、自分の鈍臭さを束の間忘れてたのよね。
あたしが走って転けないことなんてないのに。
地面を蹴ったその瞬間、例の如くあたしの鈍臭さが祟って、足がもつれちゃって。
そして、こける、と思った時には一番近くにいたその人に向かって腕を伸ばしてて。
「うわぁ!!!」
「ブヘェ!!」
奇妙な声を上げて倒れる長鼻の男。
…気づいた時には、あたしは彼を思いっきり張り倒してしまっていたの。