第11章 疑惑の研究所
そこにいたのは麦わらの一味と子供たち。
それは間違いなかったんだけど…。
1人残らず地面に突っ伏す子供たち。
そしてその前で大きなパチンコのようなものを構えている鼻が長い男。
それは見るからに、たった今子供達に向けて撃ちました、って感じで。
ど、どうして誰も止めなかったの?
他の仲間は何してるの?ルフィは!?
あたしは狼狽えつつも視線を巡らせてルフィを確認する。
だけどなんと、彼も腕を振り上げてまさに子供に殴りかかる一歩手前、と言う様子で。
あたしはますます混乱するばかりだった。
ど、どういうこと…!?
彼らは子供達を連れ去って、挙げ句の果てに攻撃したの!?
こんな幼気な子供達を!?
今見てるものが信じられない。
信じたくない、の方が近いかもしれない。
ほんとは危険を察知してすぐに逃げれば良かったんだと思うけど、あたしはしばらくの間動けなかった。目の前の現実に呆然としてしまったの。
そんなあたしの後ろから、モチャがその様子を見ていたなんて知らずに。
「うわぁーーーん!!みんなぁ〜!!」
ダッと駆け出すモチャ。
あたしはハッと息を呑んだ。
しまった…!!
モチャは大声をあげて泣きながら、倒れている子供たちの方へ駆け寄る。
「モチャ待って!」
「もう1人いた!ウソップ!頼む!」
あたしの声と、ルフィが長鼻の男──ウソップに向かって叫んだ言葉が重なる。
迷ってる暇はなかった。
あたしはその瞬間、無我夢中でその長鼻の男に向かって駆け出していた。
モチャを守らないと!!
頭の中にはそれしか無くて。
「やめて!!」