第11章 疑惑の研究所
「あれ、ここどこだろう」
考えながら歩いているうちに、あたしはますます研究所の迷路にはまり込んでしまったみたいだった。
あたしってもしかして方向感覚があまりよろしくないんじゃないだろうか…。
いつだったか、祖国の王都で教会に着くまでに馬鹿みたいに時間がかかったことを思い出す。
旅の中でも、目的地になかなかつかないと思ったことが、考えてみれば山ほどあった。
鈍臭い上に方向音痴だなんて、自分で気づいておきながら悲しくなる。
途方に暮れてきょろきょろ辺りを見回していると、モチャがピクンと顔を上げた。
「モチャ、ここ知ってる!多分こっち!」
「え、そうなの?」
モチャはあたしをぐいぐい引っ張っていく。
モチャの方が大きいから引きずられるようだった。
7歳くらいの女の子に手を引かれていることに情けなく思わなくはないけど、ここの土地勘はモチャの方が信用できそうだし。
悲しくならないように言い訳のように考えながらモチャの言う方向へ付いて行く。
「おねぇちゃん、外だ!」
「モチャすごい!」
そうして、しばらく歩いた後、あたしたちは研究所の外に出たのだった。
素直に感心しながら、モチャ1人でも脱出できたんじゃないかと思ったけど、余計情けなくなりそうだったからそれ以上考えるのをやめる。
そして、代わりにあたしはローの言葉を思い出していた。
彼はルフィに向かって研究所の裏へ行けって言ってたよね…。
ルフィもそれに頷いていたし、もしかしたら麦わらの他の仲間もそこにいるかも。モチャの友達も一緒かもしれない。
あたしはモチャの手を握りしめて、研究所の裏へ回ることにした。
──この時はあたし、信じて疑ってなかったの。
麦わらの一味がいい奴らだって。
ビビの友達で、ローが命を救った。
そんな彼が、彼らが、悪い奴だなんてこれっぽっちも思ってなかったのよ。
それなのに、まさかあんなことをするなんて。