第11章 疑惑の研究所
あたしはモチャの手を引っ張って歩きながら考える。
彼女は、友達がいつの間にか居なくなっていたと言った。
子供たちが自ら出て行ったんだろうか?
モチャを置いて?
だけどそれならすぐに帰ってくるような気もする。
モチャの友達と言うくらいだから、その子供たちもおそらく小さいんだろう(年齢的な意味でね)。
と、なると、子供たちだけで出て行ったまま帰ってこないなんて、そんなことがあるだろうか。周りの大人は何をしてるの。
…いや、そもそも。
なんでこんな研究所に小さな子供がいるの。
何かの目的があって集められた子供たち。
じゃあ、何かの目的があって、研究所の人が連れ出した?
仮に、研究所の人が連れ出したとすれば、モチャだけ置いていくなんてこと、あるかな。子供の1人を忘れてしまう、なんてこと。
なんだかその線も薄い気がした。
ここにどのくらいの数の子供がいたのかわからないけど、15人の子供たちを育ててた身からしてみれば、忘れるなんてことあり得ない。
それに、数が多いなら多いほど周りはしっかり気を配るものじゃない?
もしかして、研究所の人じゃない他の誰かが連れ出した…とか。
この研究所にいる外部の人間は、あたしの知る限りでは、
海軍、ロー、ケンタウロス
そして、麦わらの…
あたしはそこで何やら引っかかるものを感じた。
ローが攻撃していた麦わらの一味の仲間。
あの逃げて行った彼らは本当に麦わらの仲間だけだった??
あの雪煙の奥に、子供たちがいなかった??
記憶を掘り起こしてみても朧げであんまりハッキリしなかったけど、あたしは他の子供たちは麦わらの一味が連れ出したのではないかという疑惑から逃れられなくなっていた。
麦わらの一味が悪い人たちだなんてこれっぽっちも思ってないけど、なぜ連れ出したのか気になる。
場合によっては、この研究所で行われていることは…あたしはなんだか恐ろしくなって、考えるのをやめたのだった。