第11章 疑惑の研究所
子供の泣き声を目標に歩いていくと、研究所内がとても複雑な構造になっていることに気付いた。
ローはスタスタと歩いていたけど、よくこんなところを迷わず歩いてこれたな、とちょっと感心してしまう。
いくつもの曲がり角と、代わり映えのない白い廊下。
3つ目くらいの曲がり角を曲がった時、あたしはすでにどこからやってきたのか自信がなくなってしまっていた。
「まいったな…どこかに目印をつけとくんだった」
だけどそんなことを言ってももう遅い。それに、目印を付けれるようなものも何も持っていなかったし。
ローの怒った顔を思い出して背中に汗が伝うのを感じたけど、今更どうしようもなかった。
こうなったら子供に会えるまではとことん進むしかない…!
あたしは覚悟を決めて、より泣き声が大きくなる方向へ足を進めるのだった。