第11章 疑惑の研究所
ローからしてみれば、あたしの気持ちの変化なんてさっぱり分かんないから、突然怒鳴られて困惑してるんだろうけど、説明する気はない。
案の定、より訝しげに眉を寄せてる男からふんとそっぽを向くと、あたしはふと思い出した。
こんなことしてる場合じゃない。
「ロー、何でこんなところにいるの。ここで何するの」
だってさっき聞いた時は無視されたけど、ここって相当危ない島なんじゃないの?
"世界政府の機密事項" "毒ガス" "研究所?"
なんか不穏な臭いしかしなくない?
ローはそれを聞いてちょっと嫌そうな顔をした。
「…それを説明してる時間はねェ。が、ここに来ちまった以上、お前にはいつか教えてやるよ」
「いつかって…。何?何を教えてくれるの?」
「…お前が島から出なけりゃ、一生知る必要の無かったことだ」
そう言ってひとつため息をついてから、大太刀を持って立ち上がる。
「おれが戻ってくるまでここに居ろ。…今度は動くなよ」
そして部屋から出て行こうとするロー。
ちょ、ちょっと待ってよ。
そんなこと言って、あたしをこんなところに1人にするの!?
せっかく会えたのに冗談じゃない。
「ま、待ってよ!」
こんなところに残されてどうしたらいいの。
戻ってくるまでっていつまで!?
あたしは慌てて立ち上がろうとして、
「──あぁ、思い出した」
おもむろに口を開くローに、思わず動きを止める。ローはちらとこちらを見てから少し眉をひそめた。
「さっき聞こうと思ったんだが…トラってなんだ」