第11章 疑惑の研究所
ローはあたしを担いだまんま、研究所らしき建物のドアを開けてスタスタと歩いて行った。
どこに向かってんのかなんて分かんない。
だってあたしこんなところ初めてくるんだもの。
というか、何でこの人は当たり前のようにあたしを担いでんの!?!?
もっと運び方ってもんがあるでしょう!?
仮にもこっちはレディだってのに。
それに、もちろんあんなところに置いて行かれたらたまったもんじゃないけど、あたし、一言もローと一緒に行くなんて言ってない。
この人、会うのは6年ぶりだって、本当に分かってるんだろうか。
動揺したように見えたのは初めの一瞬だけで、そのあとは何でも無いことのように受け入れて、問答無用であたしを連れ去った。
それであたしは、どこへ連れて行くのかも知らされていない。
なんて待遇。
あたしにも聞く権利はあるはずだ。
「ね、ねぇ。ロー、これどこに向かってるの?そもそも、ここは何?ここに来る時、海兵がすごく不穏な単語を連発してたんだけど…」
聞いても返事は返ってこない。
分かってたこととは言え、あたしは大きなため息をつくのだった。