第11章 疑惑の研究所
いつの間にかまた刀を納めたローは、いつの間にかあたしのそばまで近づいて来ていて。
視界に影が落ちたもんだから、何?なんて見上げた瞬間には、あたしのお腹には腕が回されていて。
そして彼は、何でもないようにひょいとあたしを肩の上に担ぎ上げたのだった。
「ひぁっ!?」
いつかの森の中のように。
「トラちゃんんんん!!」
「お前、その子をどこへ連れて行く気だ!!」
「お前みたいな奴が触っていい子じゃねェんだよ!!」
「七武海が海軍に楯突きやがって!!」
「ちょ、お、おろしてよ!!」
口々に騒ぐ海兵たちと、じたばたするあたしを見事にスルーして、ルフィに向かって話しかけるロー。
「研究所の裏へ回れ。…お前らの探し物ならそこにある。また後で会うだろう」
「おう、分かった!」
ルフィが走りながら顔だけで振り返る。そして最後に、
「そいつ、トラ男の仲間か!?」
なんとも答えにくい質問をぶん投げてきたのだった。
仲間かって言われたらそれは違うとしか言えない。
だってあたしはハートの海賊団のクルーじゃないし。
「…いや、コイツは違う」
どう答えようか迷っていたら、答えはあたしの隣から聞こえてきた。
「───昔の知り合いだ」