第10章 再会
「どういうつもりだ」
「これ以上は必要ないでしょう…!」
「…どかねェと斬るぞ」
怒られるのは分かってた。分かってたけど。
…これは、予想以上に怖い…!!
あたしは冷や汗をかきながら、目の前の彼と対峙していた。
どうしてこうなったの…!?
飛び出していったのは自分のくせに、あたしは今の状況に青ざめる。
なんで、あたしは会いたくて仕方なかった人に立ち向かって行ってるの!!彼の敵である海兵を後ろに庇いながら…!!
「トラさん!危険です!逃げてください!!」
「逃げません!」
パニックになりそうだったけど、後ろにいるたしぎさんのことを考えるとそうも言ってられない。
それに。
まだ耐えられる、とあたしはどこかで思っていた。
だって、ちょっと前まで中将に向けてたのはまごうことなき殺気だったけど、今あたしに向けられてるのはローの純粋な怒りだったから。
たぶん、勝手に動いたことと。
目の前に飛び出してきたことへの。
だから、斬る、と言いながら刀を振り抜くことはしない。何となく、そんな気がした。
斬りかかろうとしたところに飛び出したのはあたしも流石に危なかったと思う。
だけど、あたしにだって譲れないものがあるんだもの。ここで負けるわけにはいかない。
そう思って、逃げ出しそうになる自分を奮い立たせて尚も立ちはだかっていると。
じっとあたしを睨みつけていたローの視線が僅かに、ほんと僅かに、──あたしの背後に動いた。気がした。