第10章 再会
──ブンッ
顔面に風圧を受け、あたしの前髪が舞う。
滑り込んだ瞬間、思わず目をつぶってしまった。
その目を恐る恐る開けると。
まさにあたしの目と鼻の先ギリギリのところで止まっているローの刀。
斬られるのを覚悟で飛び込んだんだけど、ローは一瞬の間で能力を解き、刀を振り抜くのを止めたようだった。
目の前で刃がキラリと光るのを見て、あたしの背中に冷たい汗が流れる。
そして、その刀の後ろには、とてつもない怒気を放っている、あたしが会いたくてたまらなかった人。
──あぁ、またやっちゃった。
あたしってどうしていつもこうなんだろう。
呆然としたままそう思うけど、後悔したところで始まらない。
だってそれに。
これ以上彼女を傷つけてほしくなかったんだもの。
傷つけるあなたを、見たくなかったんだもの。
そして、そんなことを思いながら真正面から見つめ返すあたしに、ローは地の底から響いているのかと思うくらい低い声で、
「…動くなと言っただろうが」
そう、言い放った。