第10章 再会
「やめろたしぎ!お前のハキじゃ受け切れねェ!」
ローが海兵たちを能力でぶった斬っていく。
──その時だった。
中将の厳しい声が飛んだのは。
その声にハッと視線を向けると、たしぎさんがローに向かって走り出すのが見えた。
刀身を抜いて、ローに向かって突進していく。
「だめっ…!!」
あたしは思わず叫んでいた。
だって、ローは女だからって手加減したりなんかしない。それはあたしが一番よく知ってることだったから。
そしてそれは思った通りで、あたしの静止の声も虚しく、ローの刀がギラリと閃いたかと思えば──。
一瞬の後には、たしぎさんの体は真っ二つに両断されてしまっていたのだった。
「斬るならば殺せ!トラファルガー!!」
悔しそうに叫ぶたしぎさん。
彼女の剣士としての矜持が今の状況を許さないんだろう。
だけど、ローはそんな彼女をこの極寒の地よりさらに冷えた目で見つめる。
「心ばかりはいっぱしの剣豪か?──よく覚えとけ女海兵…」
そして、その後に続けた言葉にあたしはハッと息を呑んだ。
「──弱ェ奴は死に方も選べねェ」
吐き捨てるように言ったのは、いつかあたしに向けて言ったのと全く同じセリフだった。