第10章 再会
だって、話しかけれる雰囲気じゃないんだもん。
スモーカー中将とローの間に流れるピリピリとした空気。
後ろにいるあたしでもゾクゾクするくらいの殺気。
ああこれは、あたしが経験したような戦いなんか比べ物にならない、桁違いの戦いが始まる。
あたしはそう直感した。
──先に動いたのは中将だった。
目で追うのすら難しいくらいのスピードでローに攻撃を仕掛ける。
その時あたしは初めて、彼が自然(ロギア)系の能力者だったことを思い出した。
そして、それに応戦するローも全く引けを取っていなくて。
なんならそれを上回る速さで切り返していく。
──能力者同士の戦いって…。
こんなの、あたしどうすればいいの。
ほんとに観覧者よろしく後ろでアホヅラで見ているしかない。
海兵多数に対してローはたった一人なのに、それでも負ける気がしないのが不思議だった。
中将の攻撃を交わしながら、能力を発動し、次々と周りの海兵たちを薙ぎ倒していく。
きっと彼の頭の中ではとんでもない速さで選択と判断が繰り返されているんだろう。
その戦いの最中で。
数日間だけとは言え、お世話になった海兵たちとローが戦うのはあたしからしたらかなり複雑な状況なんだろうけど、そんなこと気にしてるのもおかしいと思うくらい、あたしは部外者だった。
…彼はそこを動くなって言ってたし、これはもう大人しく見ておいた方が良さそう。
あたしはさっきのローの冷たい目を思い出しながらそう考え、ローと海兵たちの戦いを、ただただ見守るのだった。
そう…思ってたんだけど。
この時は、自分の性格を忘れてたのよね。
いつかの海賊船の時もそうだったじゃない。
──あたしって、自分が我慢ならないと思ったら黙って見てることなんてできないのよ。