第10章 再会
走りながらそう思って、口を開きかけた、時。
──突然、悲鳴があがった。
あたしの、すぐそばから。
「うわあああああ!!!」
その声にぎょっとして思わず足を止めると、あたしはちゃんと立ち止まることができた。
だって、あたしの腕を掴んでいた海兵の腕が、なんと、手首のところでちょん切れていたのだから。
「ひゃあ!!」
思わずのけぞって、手首を振り解く。
よく見ると血は出てない。
あたしにはピンときた。
──ローの能力だ!!
ぐるりとあたりを見回してみると、やっぱり遥か遠くにローの影。
あたしは目を見開く。
──あんなところから、狙って斬ったの!?
いや、そもそも前方の海軍全てを相手にしながらこっちにまで注意を向けていたことに驚きなんだけど。
そう思うと、これは本当にローの能力なのか怪しく思えてくる。彼、一切こっち見てないし。
もしや、べ、別の刺客…!?
あたしは狼狽えて辺りをキョロキョロ見回す。
そうなると、こんなところでぼんやり立ち尽くしているのは非常に危ないんじゃないの!?
なんだかよく分かんないけど、ローから離れたのはまずそうだ!
「海兵さん、あたし、逃げられないんです!」
言いたかったことはいろいろあったんだけど、あたしは切羽詰まった声でそれだけ叫んで、ダッと駆け出す。
とりあえず、元の場所に急いで戻らないと。
だって、ローは言ってたじゃない。
「そこから一歩も動くな」って。
不可抗力とは言え、離れてしまったのはものすごくまずい気がする。
あたしはなんとなくそんな予感がして、さっきいた場所──ローの元へ急いだ。