第10章 再会
は、早く離れないと…!
そう思うのに、考えれば考えるほど頭が回らなくなる。
というか、何でこの人は固まってるの!?
早く降ろして…!!
一人であたふたしていると、ローもようやく状況を思い出したようだった。
ハッとしたようにわずかに瞳を揺らしたかと思えば、あたしから目をそらし、軽く舌打ちをする。
「……想定外のことばかり起きやがる」
独り言のようにそう呟いて、やっとその場に降ろしてくれた。
雑な降ろし方じゃなかったんだけど、あたしは力が抜けてヘナヘナとその場に座り込んでしまう。
久しぶりに聞く、ローの声。
驚きと、懐かしさと、嬉しさと。
いろんな感情がごちゃ混ぜになって、何か言葉を発しようと思うのに、肝心のところで何も出てこない。
想定外のことばかり起きてるのはこっちもなんだけど、それを立ち上がって説明する余裕は微塵も無かった。
そして、そんなあたしに構うことなく、たった今その腕からあたしを解放した人はすっかり切り替えたようだった。
「……そこから、一歩も動くなよ」
こちらを見もせずに低い声でそう言い捨て、海兵たちの方へ歩いていく。
あたしは、そんな彼の後ろ姿を呆然と見つめることしかできなかったの。