第10章 再会
そして、ソイツの顔を見たおれは、また驚いてしまった。
さっき麦わらの一味が出てきた時ですら眉一つ動かさなかった奴が、今は明らかにその顔に驚愕の色を浮かべていたのだから。
軽く目を見開いて、船を見ている。
いや、多分だが、奴が見ているのは船じゃねぇ。
視界に映っているのは、おそらく、たった今落ちていく──。
その時、奴の口がわずかに開いた。
なんて言ったのかは相変わらずここからは聞き取れねぇ。
誰かの名前だった気もするが、そうじゃねぇ気もする。
そして、もう一度奴は音を発し、今度はおれの耳まで届いた。
「シャンブルズ」
──おれは、その一部始終を、ただ呆然と見ていることしかできなかった。