第10章 再会
──驚くようなことが起きた。
「ROOM」
おれが聞いたのは、低い、奴の声。
だがなぜか、その声がよく通って聞こえた。
そして次の瞬間──。
「タクト」
「うわああああああ!!!」
「やめろおおおおお!!!!」
おれたちは足を止めざるを得なかったんだ。
なぜなら、──海軍船が、宙に浮いたから。
ご丁寧に河底ごと。
「その中にはまだトラちゃんがああああ!!」
「やめてくれええええ!!!」
仲間の声にハッとする。
そうだ、あの中にはあの子が。
高地に立っただけで気を失う、か弱い女の子。
ふわふわの銀色の髪を靡かせて笑う、おれたちの天使が…ッッ!!(これは誇張ではないんだぜ、仲間全員で言ってることだ)
目を凝らして甲板を見ると、何か、煌めく何かが真っ逆さまに落ちていくのが見えた。
まるで、雪みてぇだった。
キラキラと光るそれがゆっくり船から離れていくのを見て、おれはやっとそれが何か気づいた。
──彼女だ。
彼女の銀色の髪が、雪のように舞っているんだ。
それに気づいた瞬間、カッと目を見開く。
「「「ウワアアアアア」」」
ますますデカくなる声。
焦りだけが大きくなるが、だがしかし、ここからじゃどうすることもできねぇ……!!
能力者のスモさんでさえ間に合わねぇ距離だろう。
そこでおれはハッと気付いて、この中で、唯一救うことができるかもしれねぇ奴の方を振り向いた。
船を浮かしたアイツなら、もしかして──。