第10章 再会
「「「「七武海、トラファルガー・ロー!?!?」」」」
声を出したのはおれだけではなかった。
ワアアアアアアッ!!!
むさくるしい男たちの可愛くもない悲鳴が上がる。
──なぜ奴がこんなところに…?
疑問に思いながら、おれは十メートルほど先で壁にもたれかかって立っているその男を凝視する。
気づかなかったのが不思議なくらいの威圧感。
トレードマークのキャスケット帽を被り、バカでけぇ刀を担いでいる。ありゃ、鬼哭といったっけか。
男でも羨ましくなるくらいの長身を真っ黒な服で包み、憎らしい端正な顔に不敵な笑みを浮かべてやがる。
スモさんと何やら話しているが、ここからじゃよく聞こえねぇ。和気あいあいって雰囲気じゃねぇのは分かるが…。
わずかでも会話が聞こえないかと耳を澄ませている、と──。
ドタバタと何かが、それもとんでもなく煩い何かが駆けてくる音が聞こえた。
「外だ〜〜〜!!」
「寒〜〜〜い!!」
「「「ワアアアアア!!」」」
「「「スーーーパーーー!!」」」
…は?
おれは、いや、おれも含めてその場の全員が唖然とする。
トラファルガーが立っている場所のさらに奥、研究所内部から出てきたのは、麦わらの一味と、馬鹿みてぇに図体のデカイガキどもだった。
おかしな連中だと以前から聞いてはいたが、確かにこれはキテレツだと思わざるを得ない。
いきなり出てきたかと思えば、こんな状況でなぜそんなハイテンションなんだ?
いや、そもそもなぜ研究所の中からコイツらが??…歌まで歌ってやがる。
唖然としたまま動けないでいるおれらに対し、トラファルガーだけは無表情を崩さなかった。
いや、内心驚いているのかもしれねぇが一切表情にでてねぇ。
眉をピクリとも動かさず、相変わらず不機嫌そうな顔で麦わらたちを見ている。
「"麦わらの一味"を捕まえます!!」
突然、たしぎちゃんの声が聞こえた。
その声におれたちは放心状態から立ち返る。
…さすがおれらのたしぎちゃん。
こんな状況でもアイツらを捕まえることに関してはブレない。
おれは刀を構えると、前方の麦わらの一味に向かって走り出した。…いや、走りだそうとした。