第10章 再会
な…なんだって!?
そんなの冗談じゃない!
あたしは麦わらのルフィに会うために、あなたたちの船に忍び込んだのに!
この島に彼らがいるかもしれないのに、それで留守番をしろって言うの!?
あたしは青くなって、助けを求めるようにたしぎさんを見た。
いつもあたしの味方をしてくれる彼女なら…!
そう思ったのに、今回ばかりは彼女もスモーカーさんの意見に同意のようだった。
「そうですね。この島は危ないですから、トラさんは船にいてください」
そう言ってあたしを船室へ連れて行こうとする。
ちょ、ちょっと待ってよ!!
「あ、あの…あたし別に危険なところでも大丈夫です!自分の身くらい自分で守れますから!」
背中を押されながら思わず大声を張り上げるけど、
「さっきまでぶっ倒れてた奴が何言ってやがる。大人しくしてろ」
中将に吐き捨てるように一蹴される。
周りを見渡しても、いつも笑顔で話しかけてくれる海兵たちも誰もあたしに視線を合わせようとしない。あからさまに目を逸らして、あらぬ方向を見ている。
な、なんてこと。
…この船に、味方になってくれる人は1人もいないようだった。
もちろん、あたしは最後まで抵抗した。
あたしだってそんなあっさり引き下がるわけにはいかない理由があるんだから。
何とか連れて行ってもらえるよう、その後も必死にたしぎさんに訴えたのよ。
だけど、彼女の意思は氷のように、いや、鉄のように固かったのだ。
"一般人"を巻き込んではいけない、という彼女なりの信念が、あたしを危険な島に連れていくことを許さないようだった。
それで結局。
あたしはこれ以上言ってもどうにもならないことを悟って。
最後にとてつもなく悲壮なため息をついて。
──そして船に1人、取り残されたのだった。