第10章 再会
海軍船は着々と島内に侵入していく。
島の入り口を塞いでいた氷塊を壊し、河を上り詰めると、海兵たちはめいめいに降りる準備をし始めた。
島に入る直前まではあんなに毒ガスが充満していたのに、中に入ると同時にそれも無くなったようだった。
まるであたしたちの侵入を阻止するかのような散布のされ方、ね。
ますます疑問に思いながらも、あたしもみんなと同じように降りる準備をしていると。
──その衝撃的な言葉が言い渡されたのだった。
葉巻を蒸す中将の口から。
「おい、お前は残れ」
「……え?」
なんの疑問も持たず、みんなと一緒に降りる気でいたあたしは、思わず動きを止めて中将の顔を見る。残れって、誰の話?
「お前は船に残れと言ったんだ」
「あ、あたし…?」
そう、中将の目が映しているのは紛れもなくあたしで。
そして、お前以外誰がいる、とでも言いたげな顔を見て、やっとあたしはその言葉の意味を理解した。