第10章 再会
いよいよそんな恐ろしい島に入るって時だった。
「トラさん、もうそろそろこのガスマスクをつけてください」
突然たしぎさんから重装備を手渡されて、あたしは面食らう。
暑くて寒い、そんな奇妙な島に入るって時に、なぜガスマスク??それをつける意味は全くもってわからない。
疑問は浮かんでくるものの、周りの海兵が当たり前のようにつけるのを見て、あたしもカポリとそれをかぶった。
よく分からないけど、ぼやぼやしてると危険そうじゃない。なにしろ渡されたのはガスマスクなんだし。
周りの会話を注意深く聞いていると、"ベガパンク"やら"化学兵器"やら聞き馴染みのないワードが飛び交っていた。
もう少し頭がよかったらピンときたのかも知れないけど、残念ながらあたしにはそんな断片的な情報だけじゃ、さっぱり状況が読めない。
だから、同じくガスマスクをつけているたしぎさんに質問してみたんだけど。
いつも打てば響くように答えをくれる彼女も、この時だけは世界政府の機密事項だと言って、詳しくは教えてくれなかった。
毒ガス関連の機密事項なんて、どうも穏やかじゃない。きな臭い話になってきたなと、ガスマスクの中であたしは一人眉をひそめた。