第10章 再会
ザザ…ッ…ザザザ…
あたしが自分の浅はかさと神妙に向き合っていると、突然、どこからか砂嵐のような聴き慣れない異音が聞こえた。
音の出どころを探して辺りを見回すと、甲板の端っこで見たことない電伝虫が声を上げていた。
…なんか普通のより黒くない??
気のせい、ではないよね。
「盗聴用の黒電伝虫です。何か拾ったみたいですね」
いつのまにかたしぎさんが近くまで来ていて、親切にも説明してくれる。
さっきまで、(多分あたしが寝てる間に)捕らえた海賊を、海兵たちが虐めるのを必死で止めてたのに。
それを見てあたしは、海賊も海兵もそんなに変わらないんじゃあ…?なんて恐ろしいことを思って、そっと見ないふりをしてたんだけど。
…いや、そんなことは今はどうでもよくて。
あたしは説明された黒電伝虫とやらをじっと見る。
盗聴用って言うと、つまりこれで誰かの…おそらく、彼らの敵である海賊たちの会話を盗み聞きするってこと?
何の音を拾ったのかと怪しんでいると。
──突然、黒伝虫がカッと目を見開いた。
『ザザ…ッ…もしも…おれはルフィ!…ザザ…海賊王…なる男だ!!』
雑音に紛れて聞こえてきたのは、とてつもなく威勢の良い、青年の声。それはもう、電伝虫に向かって叫んでるんじゃないの?ってくらいの。
って、ちょっと待ってよ!
今、ルフィって…!!
息を呑むあたしの隣から、チィッと舌打ちが聞こえた。
振り向くと、今までで一番不機嫌そうな顔をしたスモーカー中将。
「くそ…一体どういうルート通りやがったんだ…」
じゃあやっぱり!
今のは麦わらのルフィの声!?
初めて聞いたけど、自分で名乗ってたんだから間違いないよね。
…となると、ルフィはライジン島には来ないんじゃないの!?
だって、この電伝虫が最後に言ってたじゃない。