第10章 再会
「あの、この船はどこに向かってるんですか?」
お礼を言いたかったのももちろんあるけど、あたしがスモーカー中将を探していた理由はこれが聞きたかったからだった。
あたしはせっかく少し警戒を緩めてくれたらしいその人を刺激しないように、慎重に言葉を選んで聞いてみた。
そして、聞いてから、あたしはふと前方を見る。
船の行く先、その向こうに微かに見えるのは。
何だあれ。
雷???
「ライジン島だ。"麦わら"は魚人島から指針が示す3つの島のうち、一番針のブレる島を選ぶはずだからな」
ライジントウ??…トウ?島???
──!?
あれが島なの!?!?
口をあんぐり開けてその“島”を見つめる。
まだ遠いけど、ここからじゃ雷が落ちてるようにしか見えないじゃないの!!
あたしはごくりと息をのんだ。
"新世界"…恐るべし、ね。
何にも考えずに、新世界に両親がいる、なんて言ったけど、新世界にあるのがあんな島ばっかりじゃそんなの嘘だってすぐ分かるじゃない。そりゃあ、スモーカーさんも疑うわけだ。
あたしはその島を見てようやく、"新世界"に対する自分の認識の甘さに気づいたのだった。