第9章 マリージョア
どうしてそんな哀しそうな顔をするの。
どうして。
しばらく沈黙が続く。
そしてまた、大きくて長いため息が聞こえた。
「…ワノクニから手に入れたもんがある。これを使え」
アフロさんが大きな人に何かを手渡したのが見えた。
手の中に十分収まるくらいの小さい何か。
なんだろう?
あたしもよく見ようと覗き込んだ瞬間。
ぐるんと視界が反転して、あたしは何かに引き摺り込まれるのを感じた。
──ああ、また場面が変わるんだ。
ぐるんぐるんと振り回されながら、あたしは何となくそう思った。
そして、これはきっと。
ずっとあたしが知りたかったこと──あたしの過去の記憶の断片であることを、漠然と感じ取っていた。