第9章 マリージョア
「赤い港(レッドポート)っていうんですよ、ここ」
つらつらとそんなことを考えていたあたしは、突然たしぎさんに話しかけられてびっくりしてしまった。
レッドラインの越え方すら満足に知らなかったあたしにとっては、もちろんそれは初耳の情報。
目を瞬かせるあたしに、たしぎさんは親切に教えてくれた。
──ここは、レッドラインの入り口。
通称、赤い港(レッドポート)。
ここからマリージョアへ入るには、シャボンのゴンドラ(ボンドラっていうみたい)を利用して目の前にそびえ立つレッドラインを登る必要があるらしい。
なるほど、それで船は持って行けないわけだ。
あたしは納得して、たしぎさんの話に頷く。
あたしは海兵さんたちに続いて大人しく船から降りて、説明されたまんまの、シャボンでコーティングされたゴンドラに乗り込んだ。
「こんなの初めて…」
ゴンドラは驚くようなスピードでぐんぐん上へと登っていく。
あたしは感嘆しながらシャボンにへばりつくようにして外を眺めた。
どういう原理か分かんないけど、きっとマリージョアには最新の機械やら技術やらがたくさんあるんだろう。