第1章 夢
はぁーーー。
見事に勘が当たるもんね。
今日一の重苦しいため息ついちゃったけど、許してねシスター。
それくらい、あたしにしてみれば、面倒で、うざったくて、どうでもいい話なのよそれ。
だから、もう何回言ったか分からないセリフを言う。
「シスター、よく聞いて。あたしはまだ結婚するつもりはさらさらないの。あの子たちもまだ小さいし、ここには働き手が少なすぎるでしょう?」
いつもはそう言うと、この話はお開きになるのに、なぜか今日はシスターも引き下がらなかった。
「でもね、アウラ。あの子たちが大きくなっても次にまた小さい子たちが来る。ここはずっとそういう場所なのよ」
「それは分かってるけど…。でも」
「私はね、あなたに本当の幸せを見つけて欲しいのよ」
シスターに真っ直ぐな目を向けられて思わずたじろぐ。
…本当の幸せ、かぁ。
あたしはみんなとここで暮らせるだけで十分幸せだけど、シスターが言ってるのはきっとそういうことじゃない。
でも、あたしの本当の望みを言ったらきっとシスターは反対するでしょう。
あたしの幸せはきっとこの島では叶えられないものだから。
…ああ、だめだ。絶対に言えない。