第1章 夢
みんな寝室に入りはしゃぎ声も聞こえなくなってから、シスターとホッと一息ついた。
全く気が乗らないけど、シスターが寝る前にこの話だけはしておかないと。
少しぬるくなったお湯を飲みながら、どう話そうか悩む。
だけど、あたしが口を開く前に、先に話し始めたのはシスターだった。
「今朝話そうとしてたことだけど…。3年前にコースターさんのとこにいったライ、覚えてる?」
覚えてるも何も今朝会ったし。
しかもずっとここで一緒に育ってきたんだから、覚えてないわけがないじゃない。
ってのはシスターも分かってるはずだから…。
そんな周りくどい言い方するってことは、あたしが予想した通りの話ってこと。
とりあえず仏頂面で頷くだけにとどまる。
やっぱりそれかと思いながらも、聞かないわけにはいかないしね。
あたしが話を聞く様子なのを見て少し調子付いたみたいで、シスターは少し早口で話し出した。
「あぁ、よかった。その、コースターさんってこの島ではかなりお金持ちじゃない?ライももうそろそろ年頃だしね、誰かいい人いないの?って話になったらしくて」
そしてあたしの機嫌を伺うようにちらりとこちらを見る。
そんな顔してもあたしは何も言わないからね。
仏頂面で聞くだけよ、もう。
シスターはそんなあたしを見て少し迷ったようだったけど、結局最後まで言葉を並べた。
「それでね、その時に話の中であなたの名前があがったようなの。今すぐってわけじゃないのよ?でもいつかどうかなーって…」