第9章 マリージョア
「船を降りるぞ!荷物をおろせ!!」
かなり時間が経って、荷物をかかえながら船の揺れに合わせてうつらうつらしていた時だった。突然、船内が慌ただしくなったのは。
バタバタと頭上を走り回る海兵たち。
「もたもたするな!積んでる荷物は全部だ!」
あたしはハッと意識を取り戻した。
荷物を外に運び出している…?
何で?どうして??
このまま"新世界"へいくのではなかったの!?
あたしは混乱しながら、頭上の様子に聞き耳を立てる。
ドタバタと走り回るもんだから、あたしの頭の上には埃やら木屑やらが降りかかってきたけど、そんなの気にしてる場合じゃなさそうだった。ものすごく嫌な予感がする。
「おい、こっちの荷物も運び出せ!」
「「はい!!」」
騒めきが大きくなってきて、いよいよこれはまずいのでは、と思った時、
──暗い船倉に、突然光が差し込んだ。
「こっちにもまだまだあるぞ…って…」
眩しくて目を細めながら、何とか光の方を向いて。
…ああ。
あたしはため息をついた。
やっぱりと言うか案の定と言うか。
そんなにうまくいくわけがなかったのだ。
──呆然とした顔でこちらを見つめる若い海兵と、ばっちり目があった。