第1章 夢
上は15、下は0歳までの15人兄弟。
プラスあたしとシスターで17人家族。
とんでもなく大所帯なのはまちがいない。
戦争孤児や捨て子、そのほかいろんなバックボーンを抱えてこの教会に集まってきた子供たち。
中には例外もいるけど、ほとんどの子たちは物心つく前にこの教会にやってくる。
そして、だいたい15を超えるまでにあちこちに養子としてもらわれていくのが普通だった。
子供が授からなかった老夫婦、独り身になったご婦人、裕福な家庭…もらわれ先は様々だ。
別れは少ししんみりするけれど、別に永遠ってわけじゃないし、ほとんどがすぐに会える距離にいるからすごくつらいってことはない。
遠くに行ってしまった子も、定期的にとどく手紙を読むと一様に元気に暮らしていることが分かるしね。
りんごとバナナを見つけて大はしゃぎするちびっこたちを片手で相手しながら手早く荷物を片付けて、終わったころにはテーブルに今夜の食事が並んでいた。
お風呂に入って汚れや汗を落としたいところだけど、我が家の食事はみんなで集まって、が鉄則なのでいつもご飯が先だった。これ以上子供たちを待たせるわけにもいかないからね。
毎日のことながら大にぎわいの食事を済ませると、シスターが小さい子から順番に寝かせにかかる。
あたしはその間にお風呂に入ってしまって、出てから残りの子たちをベッドに連れて行く。
別に決めたわけじゃないけど、何となく毎日こんな感じで1日が終わっていった。