第9章 マリージョア
そんな風にまだウダウダと考えているあたしを見て、タバコを燻らせながら微笑むシャッキー。
麦わらの一味の話を聞いて悲壮な顔をしたあたしに、店においでと言ってくれた人。
あまりのショックで何も考えられなくなって、よく知らないままのこのこついてきたんだけど。
「ねぇ、そう言えばシャッキーはなにしてる人なの。ここの店主さん?」
あたしは改めてぐるりと店内を見回す。
半円状の店内には、入り口から見て正面に、これまた半円状のカウンターがでんと構えていた。
華美な装飾は全くなくて、カウンター席とソファとテーブル席がいくつかある、そんなシンプルでこぢんまりしたバー。
今はあたしの他にお客さんはいないけど、普段はここで酒場のオーナーをやっているのかな。
なんてのんびり考えていると、シャッキーはカウンターに肘をついた手に顔をのせながらフフと笑った。
「まあそうね。…強いて言うなら、ぼったくり屋さん、かしら?」
「え!?」
あたしはぎょっとして、サービスと言って出してくれたオレンジジュースを見る。これもしかしてサービスじゃ、ない??
少し焦るあたしに楽しそうな笑顔を向ける自称"ぼったくり屋さん"の店主。
「いやぁね、モンキーちゃんのお友達のお友達にお代なんて取らないわよ」
それ、言い出したら世界中の人がお友達になるんではないの??
という気はしたけど、お金を取ると言われても困るので何も言わないことにする。