第8章 決意
あたしは…?
あたしを止めるものは…?
そう考えて、もう気づかずにいられなかった。
行くのも、帰るのもあたしの自由だった。
今も、そして今までも。
ただ、行かないことを自分で選んでいただけ。
「…あたし、会いたい人がいるの」
振り絞るようにして出した声に、ビビは柔らかく微笑む。
「その人ね」
あたしはいつの間にか握りしめてぐしゃぐしゃになっていた世経に目を落として、小さく頷いた。
どうしようもなく、ローに会いたい。
本当にあの頃と変わってしまったのか。
それとも何か事情があるのか。
会って、それを確かめたい。
「あたしの、大切な人なの。本当は一緒に連れて行って欲しかったの。だけど、気づいたらいなくなってしまっていて…」
話している途中で、涙がぽたりと落ちた。