第8章 決意
「私、麦わらの一味なのよ。ここだけの話ね」
そう言ってくすりと笑う王女。
あたしはあっけに取られて目の前の少女を眺めた。
ビビは笑いをひっこめて、少し真面目な風にこんな話をしてくれたのだった。
それは、約1年前のアラバスタ占領未遂事件の、誰にも語られない真実だった。
のっけから衝撃的なことに、かの事件の時、ビビ王女はなんと自ら敵の組織に潜入し、内側から悪計の阻止を図ったらしい。
この時点でとんでもない話が始まったとあたしは怖気付いたけれど、驚くのはここからだった。
ビビの作戦は計画半ばで敵にバレてしまい、あわやというところ救ってくれたのがモンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団。
そう。麦わらの一味はあの時、たまたま居合わせたわけではなくて、ビビの願いに応じて一緒に戦ってくれたのだという。
「ルフィたちのおかげで、私は世界の広さを知ることができたの。海には想像を超えるもので満ち溢れていたわ…」
そう言って少し言葉を切ったかと思うと、ビビは1番の笑顔でこう言ったのだった。