第8章 決意
一通り読んですっかり驚き切ってからようやく、あたしは一つの考えに思い至った。
それは、ローはもうあの頃のあたしの知っているローではないのかもしれない、ということ。
あの頃の、不器用で無愛想で、だけど本当は誰よりも優しいあの人はもうどこにもいないのかも知れない。
そんなことをぼんやり考えていた時、ビビがあたしをじっと見つめていることに気づいた。
「アウラ、あなたもしかしてこの人を知ってるんじゃないの?」
囁くように言うビビに、あたしは何も返事ができなかった。
知ってる。…そう、知ってる。
だけどこの記事の人は、本当にあたしが知ってる人なんだろうか。
少なくとも、こんなことをするような人ではなかったと、そう思っていたけれど。
だけどもしかすると、それすらあたしの思い違いなのかも知れなかった。
結局、本当のローはどんな人…?
混乱の最中にいるあたしを見て、ビビは少し目を伏せた後、不意にいたずらっ子のような無邪気な笑顔を向けた。
そして突拍子もないことを言い出したのだった。
「アウラだけに教えてあげるね。私、表向きは王女ってことになってるけど、実は女海賊でもあるの」
「は?」
あたしは急なビビの爆弾発言に間抜けな声を出す。
ビビが、なんだって?