第8章 決意
そんなことを考えていると、
「号外!号外!」
にわかに街が騒がしくなった。
「何かしら?」
ビビにつられて振り向くと、少年が世経を売り歩いている。あたしは思わず少年を引き止めてしまった。
「あの!ちょっと見せて」
「ねーちゃん、金あんの?」
そう言われてハタと気づく。
そうだ、あたし海賊船に荷物を全部置いてきてしまったんだ。懸賞金の50万ベリーもあのリュックの中だ。
あの時は荷物なんて気にする余裕はなかったから仕方ないとは思うけれど、今になって大金を失ったことが惜しいような気がしてきた。あれがあればミカヅキ島へ帰れたかもしれないのに。
ビビは何でもないようにお金を払って世経を一部買った。
「ご、ごめん」
「いいの。情報は早く仕入れなきゃ。私も気になったし」
申し訳なくなって縮こまるあたしにビビは少し笑う。そして、近くのパン屋でパンを二つほど買うと、
「少し休憩しましょ」
と言って人混みから離れていく。あたしはますます頭が上がらない思いで、彼女の後ろについて行くのだった。