第8章 決意
暑い。
じりじりと肌を焼く太陽。
だけどそれすら嬉しい。
時々吹き抜けるアラバスタの熱い風も肌に心地よかった。
「そういえば、ナーティは?」
「今日はレインベースに行くって言ってたわ。ディーラーの仲間達と話し合いがあるみたい」
「……そう」
なんだかもうナーティはすっかりこの土地に馴染んでいるみたいだ。
また少し寂しさを感じながら、あたしは思いっきり深呼吸をする。
アラバスタの熱い空気が肺に入り込んできて、気持ちまで熱くなるようだった。
──沈んでいても仕方ない。
せっかく外に出られたんだし、今日は楽しまないと!
城下町は人々の活気で満ち溢れていた。
本当に反乱があったの?って疑問に思うくらい、街の賑わいは温かくて心躍るもので。
店や人々に目移りしながらきょろきょろと辺りを見回していると、ビビがそれに気づいたように話し出す。
「この辺りはもうほとんど以前の状態に戻ったわ。だけど、首都から離れるに連れて荒廃が目立っていくの。アラバスタはまだまだ頑張らないといけないわ」
彼女の強い眼差しに、あぁ、この子はこの国の王女様なんだと、あたしはそんな当たり前のことに今更気づいた。
この華奢な両肩に、アラバスタの全国民の生活を背負って生きているんだ。それがどれほど重い責任か。あたしには想像もつかない。