• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第8章 決意


きっと今のあたしを見たら、

『何泣いてんの』

そう言って呆れたように笑うんでしょう。



呆れてもいい。馬鹿にしてもいい。
憎まれ口も我慢するから。


だから。


「戻ってきて…っ。そばにいてよ」




声を上げて子供のように泣きじゃくっても、彼の声はどこからも聞こえなかった。



──大切な、友達だった。



彼と初めて会った時、仲良くなれると直感したの。



きっと、彼の醸し出すミステリアスな雰囲気だったり、

ピンチの時に頼りになるあの聡明な眼差しだったり、

憎まれ口の間にもにじみ出る優しさだったり。



そういうものに、どうしようもなく惹かれていたんだと、今になって気付く。




『──友達、悪くないね』




そう言って笑う彼は、あたしの隣にいない。





──もう、どこにもいないの。





あたしはその日、涙と声が枯れるまでひたすらに泣いて、そして太陽がすっかり沈んで闇が満ちた頃、全てを手放して深い眠りに落ちたのだった。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp