第8章 決意
「あいつも来ればよかったのにな」
無意識に、動きが止まる。
──ナーティの言う、あいつ。
そんなの一人しかいない。
スプーンをカチャリとお皿に置く。
あたしは何となく窓の外を見た。
そして、ああ、やっぱり。
やっぱり彼はここにいないのね。
と、自分でも驚くくらいすとんと腑に落ちた。
「あいつ、お前を引っ張ってくるから、先に降りて船の下で待ってろって言ったんだよ。お前が泳げないから、落ちたら引き上げてくれって」
「うん」
「それで、あいつも飛び込むかと思って待ってたんだけど、海軍が…っ」
ナーティは息を詰まらせて黙り込んだ。
視線をナーティに移す。
「海軍が、どうしたの」
「海賊船を……爆破したんだ。アタシたち、あいつが出てきたらすぐに助けられるようにボートで戻ろうとしたんだよ。だけど、海賊船はみるみるうちに燃えてしまって、それで…っ」