第8章 決意
ナーティはあたしが黙々と食べ続ける間、ここにきてからの待遇がどんなに良かったかを事細かにしゃべった。
ナーティや他の人々はアラバスタ王国国営の保護施設に滞在しているらしい。
そこはちょうどあたしたちのような難民やアラバスタ国内の貧民を受け入れるための施設で、働き口を見つけるまで生活保護をしてくれると言う。
国民のみならず、他の国の人々まで受け入れてくれるなんて、なんて懐の深い王国だろう。
あたしはますます感心するのだった。
さらに、あたしが今食べているような食事が用意され、公共の風呂もある、とのこと。
あたしはもちろん、こんなふかふかのベッドや上品な味のする食事なんて初めてだったけど、ナーティもそうみたいだった。
よほど新鮮だったのだろう。彼女は身振り手振りをつけて施設での様子を話し、そして最後は感心したようにこう締めくくった。
「いや〜、一時はどうなるかと思ったけど、こんな贅沢できるなんて人生なにがあるかわっかんねぇな」
それにはあたしも頷くしかない。
本当に。拾ってくれたのがこんなに人の良い王族でよかった。中には、人を虫けらの様に扱う王族もいると言うし。
ほんとに運がよかった、と改めて実感していると、ナーティは今までの調子はどこへいったのやら、打って変わって寂しげに、ぽつりとつぶやいた。