第8章 決意
ちょ、ちょっと待ってよ。
今、城って言った??
シロって、あの"城"ってことよね。
じゃあここはアラバスタ王国の…?!
それにネフェルタリって…。
あたしの記憶が間違いでなければ、
「『20人の王』の…!?」
そう、確かネフェルタリって世界政府創設に関わった20の王族の一つじゃなかったっけ。
アラバスタってネフェルタリ家の治める国だったの!?
王族なんて雲の上の存在だと思ってたし、そもそも存在するのかってくらい関わりのない人たちだったから、知識も記憶も曖昧だ。
だけど、今本人が城って言ったんだから少なくともアラバスタの王族ってことは間違いは無さそう。
目を丸くして驚くあたしに、少女──ビビはにこりと笑った。
「まあそういうことになるけど、あんまり構えないでほしいわ。王族なんて名ばかりで、ただの人間なんだから。ところで、あなたの名前は?」
あっさりと言ってのける少女。
そんなこと言われても、という気はするけど、まあ本人がそう言うならいいのかな。
あたしも急に王族だなんだって言われてもあんまりピンときてなかったところもあるし、こだわるのは一旦やめる。
「あたし、アウラ。あの、助けてくれて本当にありがとう」
寝転んだままで申し訳ないけど、体を動かそうもんなら悶絶してしまうからそっちの方がかえって失礼だろう。
ビビは笑って頷いた。
「そう、アウラね。あ、そうだ。他の方々も保護してるから心配しないでね。あなたは特別重症みたいだったからこちらに運んだの。何も気にしないでいいから、回復するまでゆっくり休んでちょうだい」
な、なんていい子なの…。
内心感動に打ち震えながら、あたしは頷く。
でもそっか、みんな無事なんだ。良かった。
じゃあ、ナーティは他の人たちと一緒にいるんだろうか。
また後で様子見に来るね。
そう言い置いて、ビビはスカートをふわりと揺らして出ていった。