第8章 決意
目を覚ました時、あたしは一瞬死んだんだと思った。
だっておかしいんだもの。
目に入ったのは真っ白な天井。
至る所に繊細な装飾が施された白い壁。
カーテンがふんわりと風に揺れていて、窓からは優しい光が差し込んでいた。
おまけに、今寝ているベッドは人生で経験したことないくらいふかふかで寝心地がいい。
何が何だか分からなかった。
これが天国じゃなかったら一体どこだって言うの。
起きあがろうとして、脇腹に激痛が走った。
「……っ」
夢なのかとも思ったけど、この痛みは夢じゃない。じゃあここはどこ。
「あら!起きたのね!!」
声もなく苦しんでいると、どこからかはつらつとした少女の声が聞こえた。
誰…?
起き上がるのは諦めて、動かせる範囲であたりを見回してみると、やがて青色のロングヘアーの少女が視界に入った。
綺麗な人…。
シンプルな白のドレスで、決して豪華な装飾を付けているわけではないのに、逆に彼女自身の美しさが際立つようでとても似合っていた。思わず見惚れてしまう。
「あなた、三日三晩眠ってたのよ。もう起きないんじゃないかと思ったくらいだわ」
軽やかに笑う様子に、悪い人ではなさそうだと安心する。
よく分からないけど、この人が助けてくれたみたい。
「あの、ここは」
少し躊躇いがちに尋ねてみたら、少女は案外あっさりと答えてくれた。
「ここはアルバーナ宮殿。アラバスタの首都にある城で…あ、その前にお互い自己紹介が必要ね。私、ネフェルタリ・ビビ。ビビって呼んでちょうだい」