第7章 最悪と最善
「起きて」
誰かの声がする。
「…う…ん…?ロー?」
「何寝ぼけてんの。寝てる暇ないよ、立って」
え、この声。
「…マリー?」
はっと目を覚ます。
あたし、まだ死んでない!?
気を失ってた…の?
昔のローの夢、見てた気がしたんだけど。
考えてることは今のあたしで、それで何か思って、それに気づかないフリしてそっと閉じ込めて。
……あれ?なんだっけ。
混乱した頭で、言われた通り立ち上がろうとして、
「うっ…」
脇腹に激痛が走る。
あまりの痛みに気を失いそうになりながらも、辛うじて声を出す。
「あいつは…?」
「君が死んだと思ってるよ、たぶん。あっちで海軍とやり合ってる」
冷静なマリーの声。
すごく落ち着く。
ひゅーひゅーと喉の奥で喘鳴がする。
体はもう動かない。
だけど、マリーの声を聞こえるってことは、生きてるってことだ。満身創痍だけど、命の灯はまだ消えてない。
──あたしの死に場所はここじゃない。