第7章 最悪と最善
まあ…それはそうなのかもしれないけどさ。
言ってることは正しい。
正しいのだけど。
そもそも何でそんなに強くなる必要があるのさ!
あたしはあのにっくきクソガキどもに勝てたらそれでいいのに!
…いや、その前に。
ローは何でそんなに強いのさ。
なんで強くなる必要があった、の。
いろいろ疑問は湧いてきたけど、確かこの時あたしは代わりにこう聞いたんだ。
「……ローは何で海賊なんてやってるの」
しばらくしてから、あたしの前に彼が腰を下ろした気配がした。
「…自由になりてェからだ」
長い沈黙の後、ぽつり、前から聞こえてきた言葉に思わず顔をあげる。
思った通り、あたしの前に座り込んだローがいた。
「今は自由じゃないの?」
その問いに返事はなかった。
代わりに、ローにしては珍しく、少しだけ昔話をしてくれたのだった。